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1.背景
(1)クオークローン(クラヴィス)の変遷(ウィキペディアより)
1975年(昭和50)7月18日 - リッチ株式会社設立。
2000年(平成12)5月19日 - 株式交換し、プロミス株式会社の子会社となる。
2002年(平成14)4月1日 - 株式会社シンコウ及び東和商事株式会社を吸収合併し、商号を
リッチ株式会社から株式会社ぷらっとに変更。
2005年(平成17)6月13日 - 商号を株式会社クオークローンに変更。
2007年(平成19)9月28日 - 貸金業関連法改正の影響を受け、全店舗閉店。
2007年(平成19)12月1日 - 商号を株式会社タンポートに変更。
2009年(平成21)4月1日 - 親会社のプロミスが全株式を譲渡したことにより、
ネオラインキャピタル株式会社の子会社となる。
2009年(平成21)5月1日 - 株式会社クラヴィスに商号変更。
2012年(平成24)1月31 日–ネオラインホールディングス株式会社(ネオラインキャピタル
(現クロスシード)の親会社)がクラヴィスの全株式を第三者に
譲渡しネオライングループから離脱。
2012年(平成24)7月5日 - 大阪地方裁判所に自己破産を申し立て、同日破産手続開始決定。
(2)サンライフの変遷(ウィキペディアより)
旧法人
1975年(昭和50)1月8日 - ライフ株式会社として設立。
1997年(平成9)4月1日 - 信販会社のライフとの混同を招いていたことにより、
サンライフ株式会社(初代)に社名変更。
2001年(平成13)12月17日 - 株式交換によりプロミスの完全子会社となった。
2007年(平成19)5月31日 - プロミスの事業再編に伴い、金融事業を縮小するため、新規受付
を中止、無人店舗を全店閉鎖。
2007年(平成19)9月28日 - 全店舗を閉鎖し事業停止。
2007年(平成19)11月 - 貸金業を廃業し、貸付債権の管理回収のみとなる。
2009年(平成21)4月1日 - 親会社のプロミスが全株式を譲渡したことにより、
ネオラインキャピタル株式会社の子会社となる。
現法人
2009年(平成21)7月1日 - サンライフ株式会社(初代)はネオラインホールディングス株式会
社に商号変更し、会社分割により新たにサンライフ株式会社(2代)
を設立。
2010年(平成22)2月1日 - 四国限定で消費者金融事業を再開。
2011年(平成23)1月14日 - 新規受付を中止
2011年(平成23)2月1日 - 貸金業を廃業。
2012年(平成24)5月14日 - ネオラインホールディングスが全株式を第三者に売却。
2012年(平成24)(時期不明) - 本社を宇都宮市のアペンタクル(旧ワイド)本社内に移転。
(3)クオークローンないしサンライフ→プロミスの債権移行
1 平成19年5月1日のホームページでの告知
100%子会社であるクオークローン及びサンライフ(以下、「クオークローン等」という)の
再編のため平成19年10月までに次の各号を実施
①クオークローン等は、新規貸付と既存会員への追加貸付を中止する
②クオークローン等の顧客に対する債権は、プロミス等に「移動」する
③クオークローン等は、その有する店舗を全廃し、譲渡し得ない一部の債権回収業務のみ行う
④クオークローン等の社員については、プロミスグループ内で適正な配置を行う
2 「プロミスグループ国内金融子会社再編における基本合意書」の締結
平成19年6月18日、プロミス、クオークローン等は、「プロミスグループ国内金融子会社再編における基本合意書」を締結し、上記告知事項、すなわち、クオークローン等からプロミスへの「債権の移行(移動)」等を実施
3 債権「切替」に関する「業務提携契約書」の締結
同日、プロミスとクオークローン等の間で、債権「切替」に関する業務提携契約書を締結,
「対象顧客」の選定は、プロミスとクオークローン等が協議
4 プロミスの債権切替と債権譲渡の位置づけ
債権切替手続きの流れ(平成19年7月2日~平成19年10月16日)は以下のとおりであり、債権切替に至らなかった顧客についてのみ、例外的に債権「譲渡」方式とした
①顧客に、窓口ないし郵送により残高確認書兼振込代行申込書を渡す
②プロミスが顧客のクオークローン等に負っていた約定残高の金員を貸し付けた形をとり,
残高確認書兼振込代行申込書記載の指定口座に振り込む
※ 「契約切替後のお問合せ窓口、および株式会社クオークローン/サンライフ株式会社における本日までの取引に係る紛争等の窓口は、従前の契約先に係わらずプロミス株式会社となることに意義はありません」との記載有
5 併存的債務引受合意
上記業務提携契約において、クオークローン等との間で、債権切替をした顧客に対し負担した過払金返還債務等の一切の債務につき、クオークローン等と併存的(連帯して)に引き受ける旨契約、 平成19年10月16日付債権譲渡契約を締結し、債権切替と同様に併存的債務引受
※ 「クオークローンが対象会員に対して負担する利息返還債務及び当該利息返還債務に付帯して発生する経過利息の支払債務その他クオークローンが対象会員に対して負担する一切の債務について、プロミスは併存的に利息返還債務等を引受け、プロミス及びクオークローン双方が連帯してその責を負うものとし、これにより生じたプロミス及びクオークローンが債務における両者の負担部分は、プロミス0割、クオークローンは10割とする。」
(名古屋地裁平成23年10月27日判決より)
6 併存的債務引受合意の変更
平成20年12月15日、プロミスはクオークローン等との間で上記併存的債務引受合意を変更し、クオークローン等が顧客に対し負担していた過払金返還債務等一切の債務につき、クオークローン等のみが負う旨の変更契約書を締結
7 ネオラインキャピタル株式会社への株式、債権譲渡
平成21年3月24日、プロミスはクオークローン等の全株式及び営業債権をネオラインキャピタル株式会社に譲渡する旨をプレスリリース、これにより31億9200万円の利益
2.債権切替事案について
(1)原告側の主張
① 契約上の地位の移転(東京高裁平成22年10月20日判決)(名古屋消費者信用問題HP)
債権切替の際、「債権切替後のお問合せ窓口及び株式会社クオークローンにおける本日までの取引にかかる紛争等の窓口は、従前の契約先にかかわらずプロミス株式会社になることに異議はありません。」と記載された「残高確認書兼振込代行申込書」に署名を求めていたことは、実質的には、顧客とクオークローンとの間の基本契約上の貸主の地位の譲渡に当たる。
② 債務引受に対する受益の意思表示(東京高裁平成22年12月8日判決)(同HP)
プロミスとクオークローン等は上記業務提携契約において、クオークローン等の顧客に対する過払金返還債務及びこれに付帯して発生する法定利息の支払い債務その他クオークローン等が顧客に対して負担する一切の債務をプロミスがクオークローン等に連帯して併存的に債務引受をする旨を合意した。これは顧客を第三者とする第三者のための契約である。残高確認書兼振込代行申込書に署名したこと及びプロミスに債務の弁済をしたことによって受益の意思表示をした。
③ 信義則違反(東京高裁平成22年10月20日判決)
借換としての実質を備えず、その本質は、経済的に優位にあることを利用して、借主の自由意思を排除し、思うがままに一方的に作り上げた法形式である。プロミスが大手金融業者であることから信用して切替手続きに応じたものであるが、これは顧客の信頼を著しく裏切るものであり、金銭消費貸借取引上の信義に反する。
(2)裁判所の判断(以下、名古屋消費者信用問題HP)
① 最高裁第二小法廷平成23年9月30日判決(原審 東京高裁平成22年12月8日判決)
「合理的に解釈すれば上告人が上記勧誘に応じた場合には、①被上告人が、上告人とA(クオークローン)との間で生じた債権をすべて承継し、債務をすべて引き受けることをその内容とするものとみるのが相当である。そして,上告人は,上記の意思を表示した被上告人の勧誘に応じ,本件申込書に署名して被上告人に差し入れているのであるから,②上告人もまた,Aとの間で生じた債権債務を被上告人が全てそのまま承継し,又は引き受けることを前提に,上記勧誘に応じ,本件切替契約を締結したものと解するのが合理的である。」「以上の事情に照らせば,上告人と被上告人とは,本件切替契約の締結に当たり,被上告人が,上告人との関係において,本件取引1に係る債権を承継するにとどまらず,債務についても全て引き受ける旨を『合意』したと解するのが相当であり,この債務には,過払金等返還債務も含まれていると解される。したがって,上告人が上記合意をしたことにより,論旨が指摘するような第三者のためにする契約の性質を有する本件債務引受条項について受益の意思表示もされていると解することができる。」
② 最高裁第二小法廷平成23年11月18日判決(原審 東京高裁平成22年10月20日判決)
「上告人と被上告人の意思を合理的に解釈すれば、・・・本件取引1に係る債権を承継するにとどまらず、過払金等返還債務を含む債務についても全て引き受ける旨の合意をしたものとみる余地が十分にあり、・・・本件取引1と本件取引2とを一連のものとして過払金の額を計算すべきであると解する余地が十分あるというべきである。」
「しかるに、原審は、本件切替契約における当事者の意思を合理的に解釈するのに必要な、本件周知事項の趣旨や、これを前提として上告人に示された本件申込書の記載内容について十分な審理判断をすることなく、被上告人が過払金等返還債務を引き受けたことを否定する判断をしたものであり、この原審の判断には、審理不尽の結果、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。」
3.クレサラ実務研究会での債権譲渡事案における主張立証指針
(1)価値判断
債権移行については、プロミスから子会社に対価が支払われたことになっており、この対価がそれなりのもので、普通に子会社の元にプールされていれば、通常の債権譲渡と変わらないと評価できる。
しかし、プロミスの平成20年3月期決算短信によれば、プロミスは、債権切替ないし債権譲渡の対価で連結子会社に対する664億円の事業貸付債権の弁済を受けた。さらにクオークローン等から100億円ないし110億円を超える短期貸付を受け、クオークローン等に営業損失235億円を計上させることで、上記短期貸付を返済することなく消滅させ、クオークローン等の資産は空洞化した。
このように、プロミスが、過払金返済請求権を有する顧客の引当財産を、クオークローン等から奪っておいて、今更クオークローン等時代に発生した過払金返還請求権は同社にすれば足りると主張するのは、余りに身勝手であり、通常の貸金業者間の債権譲渡以上に保護されなければならない。
※ クオークローン等の資産が空洞化したことを認定した裁判例として
広島高裁第4部平成23年1月13日判決(クレサラ実務研究会資料)
(2)契約切替と債権譲渡の異同
切替事案では、プロミスと顧客との合意を前提とするが、債権譲渡事案では、プロミスが、クオークローン等との債権譲渡契約に基づき顧客に対する約定債権を譲り受け、プロミスと顧客との合意を前提としない。
そのため、プロミスが顧客との間でしたクオークローン等の取引に係る顧客に対する債権債務を承継する旨の合意が存在するということができるかが問題となる。
(3)広島地裁平成23年12月20日判決(クレサラ実務研究会資料)
「ホームページ等を通じて、債権譲渡契約がプロミスのグループ会社の再編に伴うものであることを明らかにするとともに債権譲渡前の取引に係る紛争等の窓口が今後プロミスになることなどが記載された債権譲渡通知兼譲受通知書を示し、債権譲渡への顧客の承諾と、本件債権譲渡に基づく顧客の履行を求めているのであるから・・・これを合理的に解釈すれば、顧客が本件債権譲渡に異議なく応じた場合には、プロミスが、顧客とサンライフとの間で生じた債権を全て承継し、債務を全て引き受けることをその内容とみるのが相当である。」
「そして、顧客は、前記通知書の記載にしたがい、プロミスに対してその後の返済を行ってきたのであるから、顧客もまた、サンライフとの間で生じた債権債務をプロミスが全てそのまま承継し、又は引き受けることを前提に、債権譲渡を承諾したものと解するのが相当である。」
「以上の事情に照らせば、顧客とプロミスとは、前記通知書に基づく本件債権譲渡の通知と、これに基づく返済による承諾により、プロミスが、顧客との関係において、債権譲渡前の取引に係る債権を承継するにとどまらず、債務についても全て引き受ける旨の合意をしたと解するのが相当であり、この債務には過払金等返還債務が含まれていると解される。」
「顧客を第三者とする第三者のための契約の性質を有するというべきところ、顧客が上記合意をしたことにより、前記債務引受条項について受益の意思表示もされていると解することができる。」
→ただし、最高裁第二小法廷平成24年6月29日判決(最高裁HP)により認定されなかったと
思われる。
(4)現状
過払金等返還債務の承継を否定した東京高裁平成23年6月22日判決(名古屋消費者信用問題HP)の上告受理申立事件(契約上の地位の移転、受益の意思表示、信義則違反)について、最高裁第二小法廷が2月3日、上告受理申立理由を一切排除しないで上告受理決定を行い、最高裁が、切替事案と同様な判断をする可能性が非常に高かったが、判断が公になることを阻止するために、プロミスが『請求の認諾』をしたため、結論は持ち越しとなっていた。
その他、数件の上告受理申立事件があったが、プロミスから全額支払う旨の連絡があったため、入金確認後上告受理申立を取り下げていて、債権譲渡事案についても、地裁・高裁で敗訴しても、上告受理申立をすれば全額の回収が見込める状況であった。
4.最高裁第二小法廷平成24年6月29日判決について
(1)原告の主張
① 契約上の地位の移転
② 債務引受に対する受益の意思表示
③ 信義則違反
※ 原審が公開されていないため、具体的な主張・立証は不明
(2)裁判所の判断
① 契約上の地位の移転
「本件譲渡は,A(クオークローン)から被上告人への債権譲渡について包括的に定めた本件債権譲渡基本契約に基づくものであるところ,同基本契約には,契約上の地位の移転や過払金等返還債務の当然承継を定める条項はないというのであるから,本件譲渡により,直ちに,被上告人が,第1取引に係る契約上の地位の移転を受け,又は第1取引に係る過払金等返還債務を承継したということはできない。」
② 債務引受に対する受益の意思表示
「本件債権譲渡基本契約中の本件債務引受条項は,譲渡債権に係るAの顧客を第三者とする第三者のためにする契約の性質を有するところ,本件変更契約の締結時までに,上告人は,被上告人に対し,本件譲渡に係る通知に従い弁済をした以外には,第1取引に係る約定残債権につき特段の行為をしておらず,上記弁済をしたことをもって,本件債務引受条項に係る受益の意思表示をしたものとみる余地はない。そうすると,本件債務引受条項は,上告人が受益の意思表示をする前にその効力を失ったこととなり,被上告人が本件債務引受条項に基づき上記過払金等返還債務を引き受けたということはできない。」
さらに
「最高裁平成23年(受)第516号同年9月30日第二小法廷判決・裁判集民事237号655頁は,被上告人が,本件業務提携契約を前提としてその完全子会社の顧客に対し被上告人との間で金銭消費貸借取引に係る基本契約を締結することを勧誘するに当たって,顧客と上記完全子会社との間に生じた債権を全て承継し,債務を全て引き受ける旨の意思表示をしたものと解するのが合理的であり,顧客も上記の債権債務を被上告人において全てそのまま承継し,又は引き受けることを前提に,上記勧誘に応ずる旨の意思表示をしたものと解される場合につき判断したものであり,上告人の意思を考慮することなくAと被上告人との間で本件譲渡がされたにすぎない本件とは,事案を異にすることが明らかである。」
③ 信義則違反
「被上告人において上記過払金等返還債務の承継を否定することが信義則に反するともいえない。」
5.今後の可能性について
最高裁平成24年6月29日判決の原審が確認できないため、当該訴訟で具体的にどのような主張立証をされてきたかは不明である。
以下は、あくまで独自に可能性を模索したに過ぎないことを付言しておく。最高裁平成24年6月29日判決を読む限り、信義則違反についてどのような理論構成をするかがカギとなると思われる。
※ 債権譲渡契約書につき文書提出命令の決定をした裁判
東京地裁立川支部平成24年3月30日決定(名古屋消費者信用問題研究会HP)
(1)東京高裁平成23年6月22日判決に基づく主張
① 契約上の地位の移転
「クラヴィスの100%親会社である被告プロミスは、クラヴィスの廃業とその顧客の切替及び顧客に対する債権の譲受を一方的に決定し、顧客にはクラヴィスとの取引継続という選択肢を与えず、従前のクラヴィスの顧客に対する過払金返還債務の債務引受までしていることなどの事情を考慮すれば、被告プロミスは、クラヴィスと原告らとの間の契約上の地位を譲り受ける意思であったと解すべきである。」
② 債務引受に対する受益の意思表示
「被告プロミスは、債権譲渡及び本件契約切替の際に、クラヴィスの過払金編先債務につき併存的債務引受をしているところ(以下、これらの債務引受を「本件債務引受」という。)、これらにより原告A及び同Cが不利益を課される可能性はないから、同原告らの受益の意思表示は必要ない。仮に本件債務引受が第三者のためにする契約であり、受益の意思表示が必要であるとしても、これは広く柔軟に解するべきであり、表意者が受益の意思表示をした時点で債務引受の具体的認識は不要であって、原告Aの被告プロミスに対する弁済及び原告Cが本件契約切替に応じた行為は、受益の意思表示というべきである。」
③ 信義則違反
「被告プロミスは、100%子会社であるクラヴィスの顧客・貸付債権の譲渡を受けクラヴィスを廃業させてその積極財産と収入の道を奪い、顧客は、他の選択肢もなく債権譲渡や債権切替えに従わざるを得ないという状況の下で、積極財産を奪い(なお、被告プロミスはクラヴィスに債権譲渡の代金を支払っていない。)、かつ、全てを決定した主体であるから、クラヴィスの原告A及び同Cに対する過払金返還債務を承継しないと主張するのは信義則に反する。」
(2)名古屋地裁平成23年10月27日判決(名古屋消費者信用問題HP)に基づく主張
併存的債務引受の撤回を信義則違反として認めず、訴え提起により受益の意思表示を認定
①クオークローンに対する200億円を超える過払による不当利得返還請求権を返済せずに放置
②クオークローンの最大の資産である800億円を超える営業貸付金を移行
③706億円の貸付金を優先して回収
④110億円の借入を計上して次年度に多額の経常損失を計上することでこれを消滅させた
⑤事実上、クオークローンに対する過払による不当利得返還請求権の行使を不可能にした詐害行為に該当する
⑥営業貸付金移行に伴い併存的債務引受をした場合の費用や法的問題について弁護士及び公認会計士等にアドバイスを得て(債務引受による求償権を費用として計上し、短期貸付金と相殺処理した可能性が高い)、いったん営業貸付金移行が潤滑に進行するように併存的債務引受をした上、営業貸付金移行が一段落した上、営業貸付金の一部を売却し、クオークローンの切離しの目途がついた時点で併存的債務引受を撤回する予定であった。
以上のとおり
①顧客は過払金の返還請求が事実上できなくなる上に、プロミスは完全子会社から債権を移し替えるだけで多大な利益を得られることとなり、その結果は極めて不当である。
②当初からその移転が完了してプロミスとの取引が進んだ段階で債務引受を撤回した上、プロミスが取引を引き継げなかった債権及び支払が遅滞した債権については早期に第三者に売却して利益を得ようと意図していた。
→併存的債務引き受けの撤回を主張することは信義則上許されないというべきであり、訴え提起により顧客は受益の意思表示をしたと認められる。
(3)マルフク→CFJの債権譲渡事案である最高裁第二小法廷平成24年1月20日判決
(名古屋消費者信用問題研究会HP)の反対解釈からの可能性
「本件債権譲渡契約は、①特に資本関係のない当事者間で締結されたもので、上告人がマルフクに対して、マルフクの有する貸金債権等の譲渡対象資産の額に一定額を上乗せして定められた②相応の対価を支払うものとされていたというのであり、③取引履歴破棄義務条項は、上告人にとって将来のマルフクとの競業状態を避ける目的で設けられたもので、被上告人のマルフクに対する過払金返還請求権の行使を妨げることを意図したものではないことがうかがわれるのであって、上告人が本件債務を承継しない旨の主張をすることが、被上告人との関係で、信義誠実の原則に反するとか、権利濫用にあたるということはできない。」
→①完全親子会社関係にあったこと
②相当な対価が支払われず、詐害行為に該当しうること
③クオークローン等の資産を空洞化させ、顧客からの過払金返還請求権の行使を妨げたこと
→以上の事情から信義則違反ないしは権利濫用を主張する。
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